「福利厚生を廃止して賃金化する」というテーマは古くて新しい。長引く不況の中で賃金の抑制を図る一方、福利厚生制度の縮小・見直しを進める企業は少なくない。「福祉」という見方でしか見ない経営層からの要請もあるが、ダウンサイジングの中で切りやすい施策であることは周知のとおりである。もちろん、人事労務管理の地殻変動として雇用の多様化が進み、評価方法の変化に中で成果主義、能力主義の延長線上に「賃金のような評価があって配分されるべき」といった議論さえ出てきた。リクルートは福利厚生撤廃を試みたが、そこには企業ごとの事情があり、一般化できない面もある。本稿では、以上の議論を整理し、考察を試みた(企業福祉は今(9))。
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