企業の成長とともに基本的労働条件が向上してくると、一方で企業福祉の充実が要求されてくる。成長を続ける企業では従業員を増やしていくことで若年者層が増え、そのニーズに応えていく中で余暇対策に力を入れるようになってきた。過去における対策として直営保養所は一つの象徴だったと言えよう。しかし今日、資産デフレが進んできた中で、万一の場合に処分し現金に変えるとする目的としては意味を持たなくなり、それ以前に利用者の減少が顕著となってきた。管理コストや営繕に大きな費用がかかる点も大きな問題となってきた。本稿は、企業が直営保養所を運営することの効果を改めて考察し、その課題について論じた。時代は「所有から利用へ」と変化している点を指摘した。
企業福祉は今(8)
pp.18-21