全国社会保険労務士連合会編として「人的資本経営時代の基礎知識」をまとめた本書全18章(345頁)で、第10章「(労働)安全衛生管理」と第11章「福利厚生管理」を担当。
第10章は、人的資源管理における(労働)安全衛生管理の位置づけ、(労働)安全衛生管理体制および(労働)安全衛生管理の基本事項について解説をおこなった。またその中でも近年、特に注目されている健康管理の実施と具体的な展開の動向を取り上げ、人的資本経営の中での「健康経営」の考え方に基づく企業の対策について論じている。
一方で、職場でのメンタルヘルスとハラスメントの問題は社会問題としても注目され、企業にその対策が求められてきている点を指摘し、多くの課題をはらんでいることの分析とともに改善に向けた企業の取り組みの在り方についてまとめた。労働安全衛生法の改正などにより、職域の健康管理活動における情報共有や対策の効率化が促進されることとなり、企業に若年労働力人口の減少に伴う人手不足から積極的な態度が見られる中での創意工夫を凝らした動きとその工夫点について論じた。
第11章は、基本的と労働条件の改善に取り組む企業の福利厚生管理の動向を論じた。ここにおいても人手不足の深刻化とともに投資家に向けた「人材」に関しての情報の開示が義務付けられたことから、「人的資本経営」の原則として働きやすい職場づくり、ワークラーフバランスへの配慮、モチベーションを維持・向上させ、人材の確保・定着を図るための工夫としての福利厚生管理における新たな企業の取り組みを取り上げた。人的資本経営における福利厚生管理の重要性はいうまでもなく、その施策内容の変化、その中でも特に注目されているカフェテリアプラやアウトソーシングの導入による管理の新展開について論じている。