ポルポト政権の崩壊から約40年の歳月が経過しましたが、当時、混乱時代に生きた青年・壮年だった人々は、高齢期を迎え、現在、カンボジア国内では高齢者の生活問題は大きな社会問題になっています。
本発表では、2016年8月にカンボジア南東に位置するスバイリエン州で「高齢者生活実態調査」を実施した研究成果から得られた、社会福祉支援に関する問題点と課題を整理し、今後の社会福祉支援のあり方や専門職の人材育成・養成および社会福祉制度ついて考察することを研究目的として発表した。
高齢化率は、統計分析から上昇傾向にある。2000年代に入ってからカンボジアの経済発展は著しく成長しましたが、その一方では、伝統的な家族や地域での相互扶助が希薄化してきたことで、高齢者の生活問題は都市部や農村部で表面化するようになった。
2015年に実施した調査研究の分析結果からも高齢者が抱える生活問題は多岐に渡って示唆されましたが,2016年8に実施したスバイリエン州での「高齢者生活実態調査」からは多くの問題と課題が浮き彫りになった。研究対象者は40名であった。本発表では発表課題に関連する項目を抽出して、調査研究結果から得られた分析データを基にしながら、高齢者の社会福祉支援に関して示唆した。