before/after, in/on/at, until/by/up to などの時空間を表す英語の前置詞句とそれらに対応する日本語の「〜前/後に」「〜で/に」「〜まで/までに」などの後置詞句との比較を通して、人間が生まれながらに有している言語知識の解明を目指している。前/後置詞句(以下、接置詞句)の比較統語論研究は、これまで印欧諸語を中心に盛んに行われており、今後は東アジア言語との比較により接置詞句の構造に関する普遍性に迫ることが期待される。その第一歩として、英語、日本語、中国語の接置詞句の内部構造と接置詞句内の名詞句省略に着目して研究を続けている。この比較統語論的研究を中国語や英語以外の言語にも拡張し、それらの言語における接置詞句内名詞句省略の研究を通して、現在論争が続いている削除現象全般に関わる諸条件、句構造の普遍性、名詞句の内部構造等について新たな示唆が得られることが期待される。