本研究では,非来館者が図書館に抱くイメージの一助となるものとして,また図書館員にとっては来館者・非来館者を問わず広く図書館の広報活動を行うことのできる場として存在する,新聞記事に着目した。「新聞記事は図書館をどのように語っているのか」を明らかにすることを目的として,新聞記事1件ずつに対して,① 館種による分類,② 地域による分類,③ 『日本十進分類法』新訂10版の010番台に基づいた主題分析という,3種の分類を行った。調査対象は2015年1月1日から2019年12月31日までの5年間の河北新報データベースに掲載されている新聞記事のうち,「図書館」を見出しに含む記事である。その結果,図書館に関する記事は年間約135件掲載されており,そのうちの多くが多賀城市立図書館本館をはじめとする公立図書館を扱った記事であること,専門図書館と点字図書館,電子図書館は新聞の配付地域内に設置されているにもかかわらず,これを扱った記事が少ないこと,講演会などの集会活動を報じるといった図書館サービスに関する記事が多いこと,図書館側は「本と人,人と人がつながる場所」として図書館を語っているが,利用者側はつながる場所としてよりも「本がたくさんあり,静かで集中できる場所」として図書館を語っていることなどが分かった。