本稿はメディア論の古典、中井正一の「委員会の論理」(1936)を三木清との比較から論じる。中井に影響を与えた先輩として三木は知られる。しかし後輩中井から三木への影響もある。本稿はその点を検証した。久野収は中井「言語」(1927,1928)から三木「解釈学と修辞学」(1938)への影響を示唆したが、歴史の当事者として証言するのみである。本稿では「言語」「委員会の論理」と「解釈学と修辞学」の関係を検討し、コミュニケーションの双方向性への志向の点で、二人に深い一致点があることを示した。
後藤嘉宏,中林幸子,戸邉俊哉