本論はナラティブセラピーにおける「問題の外在化」をデザインアナロジーの観点から考察したものである。
テクストアナロジーに回収されてない「問題の外在化」のイメージ部分に焦点を当てるべく、
テクストと絵で構成されている絵本を臨床素材とした扱った。
臨床素材はモーリスセンダック著「かいじゅうたちのいるところ」である。
まずこの絵本が「問題の外在化」のストーリーに合致していることを確認したうえで、
絵のパートを「面のデザインの推移」「背景」「地平面」「円のデザイン」というデザインの要素から分析した。
その結果、人と問題が重なった状態から両者が別個のものとして離れゆくプロセスが
月蝕のデザインに類似することなどが見出された。
天体食という驚異や危機に対して人類は神話を生成して生き延びてきたが、
問題の外在化のプロセスにも上記と同様のデザイン的類似性があることから
外在化が用いられる心理面接において神話の生成過程の反復が生じている可能性が示唆された。