重度の精神障害をもつ人は、日常生活や対人関係、社会参加、自己決定に困難を抱えやすく、孤立や貧困、 就労機会の制限、支援資源へのアクセス困難といった不利な生活条件が重なり、健康格差に直面しやすい。 特に糖尿病などの身体疾患を併存する割合が高く、合併症者は精神症状や生活リズムの不安定さ、社会的 孤立等の影響により自己管理が困難となる。これらの課題は医療的指標のみでは十分に捉えられず、生活 過程に着目した支援が求められる。 本研究の目的は、重度の精神障害と糖尿病の合併症者(以下、合併症者)へのリカバリーに焦点をあて た文献をレビューし、合併症者の糖尿病自己管理支援の現状と課題を明らかにすることである。これにより、精神障害と糖尿病を有した人に対するリカバリー志向の糖尿病自己管理支援プログラム構築の基礎的知見を得ることを目的とする。本研究では、合併症者の主体性や生活再構築を重視する観点から、国内外のリカバリー支援及び自己管理支援に関する文献を対象とした。 データベース検索およびハンドサーチにより選定した13件の文献を分析したところ、参加型教育や相互支援(ピア要素)、統合型支援プログラム、患者中心ケアの有用性が示唆された一方、長期介入の継続困難、支援者教育や退院後支援体制の不足、理論枠組みの明確化と評価指標設定の課題が示された。ただし、対象研究の多くは症例報告や質的研究を含み、介入研究も規模・追跡期間・評価指標にばらつきがあ るため、効果の一般化には慎重な解釈が必要である。そのため本研究結果は、重度の精神障害と糖尿病を有した人に対するリカバリー志向の糖尿病自己管理支援プログラムの構成要素を検討するための基礎的知見として位置づけられる。