統合失調症や双極性感情障害などの重度の精神疾患を有した人々は、そのような診断を受けていない 人々よりも糖尿病の比率が高いことが明らかとなっている。しかし、重度の精神疾患と糖尿病を有した方 (以下、糖尿病合併患者)に対する具体的な糖尿病支援プログラムは開発されていない。そのため、糖尿 病合併患者に対するリカバリー志向の糖尿病自己管理支援プログラムを開発するための予備研究として、 糖尿病合併患者及び支援する看護師、精神保健福祉士にインタビューやワークショップを行い、支援の現 状と課題を明らかにすることにした。 インタビューとワークショップの結果より、糖尿病自己管理支援プログラムを開発する際には医療者か らの一方向の支援でなく、ピアサポートや、当事者の思いを引き出し活用できる内容、当事者の目標意識 を伸ばしていける内容を検討していく必要があると考えられた。また、糖尿病合併患者を支援する環境と しては、本人の意欲関心を高めていくために、糖尿病合併患者が脅かされない環境を提供することや、他 者と生活の情報を共有するピアサポートによる支援環境、リカバリーゴールを設定し個人が目標に向かえ るような糖尿病自己管理支援プログラムを開発する必要があると考えられた。