MR、アスペルガー障害、注意欠陥障害が重複した小学3年生の男児の登校渋りに対して、心労のあまりうつ症状を呈しアルコールに依存しつつあった母親と児童への援助事例である 。筆者はスクールカウンセラーとして1)登校渋りの男児に対するチーム援助、2)医師からの発達障害についての説明依頼、3)母の障害受容と援助要請行動の促進、4)母の受診継続への援助を行った。男児が特別支援教育の対象となり、学校生活を楽しめるようになるにつれ、母親のうつ症状とアルコール依存は消失した。その精神衛生はBが学校生活に充実感を抱けているかどうかに左右され、教師サポートへの信頼はストレス除去に直接的な貢献を果たした。
Vol.39, No.4, pp.338-345.
田上不二夫