中学生の別室登校に対する援助チームを対象にした事例研究である。クライエントは小学3年から継続して関係性攻撃の対象となり、中学2年の夏から不登校に陥り、仮面うつ病と診断された。10ヶ月余にわたる薬物療法と並行して、中学3年8月から別室登校での個別学習支援と1日3時間の対人関係ゲームを行ったところ、急速に症状が改善し、2ヶ月後に寛解した。支援開始後約1ヶ月で症状消失が認められたが、対人関係ゲームの中断で再発し、再開後に症状が消失した。対人関係ゲームには、①対人不安の拮抗制止、②仲間や教師との関係形成の促進効果が認められた。仲間との遊び体験は、学校環境認知をポジティブに再構成し、その適応力を促進した。
Vol.51, No.2, 114-124
中村恵子・田上不二夫