集団社会化理論(Harris,1998)では,子どもは親よりも級友や遊び仲間を自分と同一視し,所属集団に適するように振る舞いを変え,これが個人の人格形成に最終的な影響を与える。不登校はKearney(1997)以降,School refusal behaviorとして認知行動療法によるアプローチが主流になった。しかし,そこで注目されているのは,本人と親の認知および親や支援者が提供する刺激で,その媒介変数に仲間集団は存在していない。そこで,本研究では,仲間集団とのかかわりが扱われた再登校支援事例を用い,仲間集団が子どもの変容に直接的に影響を与えているのか否かについて検証する。
中村恵子・田上不二夫