抜毛症に対する認知行動療法での治療は、抜毛という問題行動に注目した習慣逆転法が主流である。しかし、本研究では、クライエントである女子大学生に認知再構成法をベースにした認知行動療法を行ったところ、1回面接で症状が消失した。クライエントは、小学3年時に標的いじめを経験し、それ以来、評価懸念が高く、自己主張の代替行動として抜毛を行なっていた。そのため、その歪んだスキーマに介入し、認知の修正を図った。併せて友達への援助要請行動を形成したところ、友人環境に質的変化が現れ、これが適応行動を顕著に促進した。
本発表は、日本ヒューマン・ケア心理学会優秀口頭発表賞を受賞した。