小学3年から標的いじめが潜行していた単学級で、中学3年時に不登校生徒7名を対象に相談室登校を受け入れた。そこにはうつ症状で投薬治療を受けていた4名が含まれ、ほぼ全員に日内変動と神経衰弱が伴っていた。そこで、午前の活動を生徒自身が希望したカードゲームに設定したところ、ゲーム場面で小学校時のいじめについての相互エクスポージャーが自発的に行われ、ときに笑い合い、ときに号泣しあってゲームが行われた。この感情の共有体験を通してギャンググループが形成され、仲間や教師との関係についての認知の再構成と、個別学習支援ならびに登校継続の実現による焦燥感の解消から、約2ヶ月間で症状が消失した。
中村恵子田上不二夫