エコシステムの概念は、現在では企業の誕生、成長、消滅等を議論する際の重要な論点となっている。一方で、エコシステムは「製品エコシステム」「地域エコシステム」等、様々な概念で使用されており、論者によっても使用目的や内容が異なる。あるいは、地域エコシステムは国及び自治体の産業政策としても重要視されるが、既存研究との連携性や過去の産業政策との評価が充分に行われないままに新たな下位概念が次々と生まれている。また、その産業政策の方向性は「起業」に偏っているとも考えられる。本稿では、以上のようなエコシステム、特に地域エコシステムの問題点を整理し、今後の研究課題として、新企業の創業とともに既存企業の強化やwell-beingに関連する意味でエコシステムを位置付けることを考察していく。