英語によるオーラルコミュニケーション能力を重視する昨今の英語教育の流れにあって、大学を含む教育機関における英語カリキュラムは、従来の訳読中心の授業から英会話を中心とした、学習者がより多く英語を聴き、発話を行う形式の授業へと変化している。一方で、大学等高等教育機関に在籍する障害学生の数は年々増加しており、平成28年度に施行された「障害者差別解消法」によって、障害を持つ学生の就学に際し、教育機関は合理的配慮をすることが努力義務とされた。聴覚障害のある学生にとって、オーラルコミュニケーションを中心とした英語の学習は多くの困難を伴うものであり、支援を提供する教員および各教育機関もまた、適切な支援を模索し試行錯誤を続けている。本論では聴覚障害学生がオーラルコミュニケーションを含む英語の授業に参加する際の支援について、そこに関わる複数の要素(聴覚障害学生、英語教員、音声字幕システム、ノートテーカー)を先行研究、および東北福祉大学での事例をもとに整理・検討し、将来の支援体制向上に向けた考察を行った。