被害者が加害者に寛容を示せるかどうかは建設的に葛藤を解決するための重要な条件である。しかし、寛容は被害者にとって困難なものである。本研究では、その困難な理由を動機的観点から解明し、寛容を抑制する動機を第三者がどのように和らげ、寛容を導くのかについて検討した。分析の結果、被害者と親密な第三者が被害者の無過失を支持すると、被害者の孤独感が改善され、寛容が促された。一方、被害者と非親密な第三者が被害者の無過失を承認すると、周囲の人に自分の過失の程度について誤認されたくないという動機が低減し、寛容が高まった。ソーシャルサポートの研究において、親密他者によるサポートは非親密他者のサポートより効果があると示されているが、葛藤解決においては、非親密他者によるサポートも十分な効果を発することが示された。