加齢に伴い身体の予備能力が低下し,健康障害を起こしやすくなった状態はフレイ ルと呼ばれ,身体的な変化だけでなく,心理的・認知的な変化や社会的な要素も含まれる。 フレイルの中でも,身体的フレイルは高齢期における生活の自立を阻害する主要因であり, 早期発見と早期対処が可能かつ有効である。一方で,フレイル該当者は歩行困難感を有し ているものの,歩行機能低下を自覚していないことが多いことから,気づきを与え,容易 に実践できる運動の方策を考えることが急務である。その方策として,ノルディックウォー キング(以下,NW)が有効と期待される。NW とはフィンランドが発祥のスポーツであり, 2 本の専用ポールを使うことから,通常歩行よりも良姿勢の保持が容易になり,歩行時の 安定感が得られるといった特長がある。そこで,我々は令和 2 年度より,フレイル該当者 向け NW 指導法の普及と,介護予防事業等における NW 体験パッケージの親和性や有効 性の検証に取り組んでいる。本稿では,NW 体験パッケージの概要と NW インストラクター 向け養成講座について紹介する。