本研究は寒冷地宮城県において、休耕地に試験栽培したチュニジア産オリーブのChetoui(シェトウィ)、スペイン産Arbequina(アルベキナ)、ギリシャ産Koroneiki(コロネイキ)の果実中ポリフェノール含量と、オリーブ葉試料の保存条件によるポリフェノール含量への影響について調べることを目的とした。オリーブの試験栽培地は、石巻市網地島、仙台市国見ケ丘、仙台市泉区の3 地点とし、収穫時期は11月下旬から12月上旬とした。オリーブ果実のポリフェノール含量は、仙台市国見ケ丘で栽培したChetoui(14.2μgGAE/g)が最も多く、石巻市網地島で栽培したChetoui(5.59μgGAE/g)の約2.5倍で有意な差があった。Arbequina においても、仙台市国見ケ丘(5.01μgGAE/g)のほうが石巻市網地島(3.54μgGAE/g)よりも約1.5倍多かった。また、3 品種の平均含量を栽培地域別にみると、仙台市国見ケ丘で栽培したオリーブ(8.59μgGAE/g)に対して、網地島(5.37μgGAE/g)となり、約1.6倍の差があった。既報ではChetoui のポリフェノール含量はヨーロッパ産に比べて高いと言われており、我々の測定値においてもそれに準じた結果が得られた。尚、試験栽培地によるポリフェノール含量の差異について、原因の一つは気象条件に因るものと考えられる。一方、オリーブ葉ポリフェノール含量は、葉の抽出液あるいは乾燥粉末の状態で、遮光保存することにより、1 年後でも収穫直後の含量とほぼ同じ値を示した。室温や冷蔵保存による影響は少なかった。一方、遮光せず1 年間保存すると収穫直後に比べて20~35% 有意に減少することが分かった。これらの結果はオリーブの成分研究や様々な製品開発において貴重な知見となりうる。