わが国における過去の放射線被ばく事故は、当時の救急医療体制が十分整備されておらず、被ばく者に対する初期救急災害医療において多くの問題があった。今回、緊急被ばくについて救急災害医療の視点から、過去のJOC社東海事業所臨界事故および東日本大震災に伴う東京電力福島第一原発事故における急性放射線症候群の事例について着目し検証した。それらの問題点と課題を抽出し、今後の放射線被ばく事故時における緊急救急医療体制のあり方について考察した。とくに、緊急被ばく医療体制のあり方においては、危機管理体制の整備と情報を共有する新しい総合的な体制作りを注視した。すなわち、今後準備とサーベイランス(監視)の2つの戦略を構築していくことが重要であると考えた。 |