論文

基本情報

氏名 阿部 一彦
氏名(カナ) アベ カズヒコ
氏名(英語) Abe Kazuhiko
所属 総合福祉学部 社会福祉学科
職名 教授
researchmap研究者コード
researchmap機関

題名

「障害者権利条約パラレルレポートとこれからの障害者福祉」

単著・共著の別

単著

概要

障害者権利条約は、2006年12月の国連総会で採択されたが、わが国では安易な条約締結を避け、締結に向けた条件整備のための集中的な改革を行って2014年1月に締結された。その間、障害者基本法、障害者総合支援法、障害者雇用促進法等が改正され、あらたに障害者差別解消法が成立している。その後も、障害者団体が「私たちのことを私たち抜きに決めないで」というスローガンのもと、政府等の各委員会に参画する機会が増えてきたことの意義は大きい。 
締約国報告は2016年6月に国連に提出されたが、審査待ち状態にある。今後、障害者権利委員会において、2019年夏にはわが国への事前質問事項採択のための作業部会、2020年夏には建設的対話(国家審査)が開催される予定である。権利委員会の検討が効果的に行われるためには、市民社会組織による活動が大きな鍵を握ることになる。日本障害フォーラム(JDF)では事前質問事項に向けたものとその後の建設的対話に向けた2種類のパラレルレポートを作成し、主体的に取り組む必要がある。
障害者団体等が、パラレルレポート作成作業を通して他の団体の課題等を共有し、団体間の連携が強化されたことは大きな財産である。そして、障害者権利委員会による総括所見(勧告)とJDFをはじめ各障害者団体が収録した重要な情報をもとに、多くの人々や関係機関等を巻き込み、今後のわが国の在り方を問い、社会を改善するための活動の輪が拡がることを期待する。障害がある人の不便なこと、困っていることを解決する取組は、誰もが暮らしやすい地域共生社会づくりにつながることである。
9 50-51

発表雑誌等の名称

月刊福祉 9 50-51 2019

発行又は発表の年月

201909